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みやぎ就農ナビ

宮城の「食」を伝える活動を
いろいろな角度から

  • 野菜屋カフェ ヴェルデ
  • オーナーシェフ 奥村 隆 さん
野菜本来の味を生かした斬新な料理づくりで「野菜の魔術師」の異名を取るシェフ・奥村 隆さん。
2017年9月、食の体験レストラン「野菜屋カフェ ヴェルデ」を宮城県の秋保にオープンしました。
お店のコンセプトや、積極的に開催している農業体験イベントについて伺いました。

偶然から生まれた名物メニュー「人参ステーキ」

お店では「人参ステーキ」などのユニークなメニューが人気ですね。どういったきっかけで生まれたのですか?
5年ほど前に在籍していたお店にいた時のことです。バーニャカウダの下準備で人参をまるごと蒸していたのですが、本来30分蒸すところを、タイマーをかけ忘れて2時間ぐらい蒸してしまいました。

失敗した人参を食べてみたら、味は抜けていないし、思ったよりもおいしい。ビジュアル的にも、そのままの形で皿に盛ったらインパクトがありそう。これはもしかしたら商品になるんじゃないかなと思いました。バターじょうゆで味付けてみたらとてもおいしくできた。それがきっかけでした。

当時、統括料理長を勤めていたので、部下の手前「失敗した」なんて言えません。失敗を隠すために作ったらうまくいった。そんな料理です。部下には、さもこれを作りたかったかのように装いましたけど(笑)。

「植木鉢プリン」はインスタ映えする可愛いメニューですね。
今のプリンの主流は、とろけるプリン。でも僕の年代の若い頃には、しっかりした食感のプリンしかありませんでした。時代に逆行して、自分が若い時によく食べていた固焼きプリンにしたいと思って作ったのが「植木鉢プリン」です。

表面に土のように見えている部分はスポンジ生地にココアパウダーを乗せたもの。プリンに合うテイストになっています。真ん中に芽のように出ているのはミントです。


ミントといえば、お店の隣りにハーブ園がありますね。どんなものを栽培しているのですか?
冬の間は栽培していませんが、春から秋にかけて、いろんな種類のハーブを植えています。去年は12~13種類植えたかな。お客さんに好みのフレッシュハーブを摘んでもらい、そのハーブでフレッシュハーブティーを楽しんでもらう、そんなこともやっています。


子どもだけでなく、「大人の食育」を

そもそも「野菜屋カフェ ヴェルデ」を秋保にオープンしたきっかけを教えてください。
もともとは同じ名前の店を仙台市荒町に構えていました。秋保に店を移したのは、自分で作った野菜を店で出したいという理由からでした。

荒町にいた時も野菜づくりはやっていたのですが、畑が車で2時間ほど離れた場所で遠かったので、店で採れたてを提供することはできませんでした。店のすぐ横に畑があれば、採れたての野菜を出せるし、野菜づくりにも手間をかけられる。そう思っていたところ、いい物件を見つけたというのが移転の理由です。

畑では、お店で使う野菜を育てるのはもちろん、いろいろな農業体験イベントを実施しています。今年は「大人の食育」をテーマにしたイベントを企画しています。街中のレストランではなく、この場所にあるレストランにしかできないことをやりたいですね。
「大人の食育」とは具体的にどんなものですか?
ハーブの資格を持った人や、みそやこうじの専門家など、いろんな方をお招きして、料理を食べたり、野菜を作ったりするイベントを考えています。

食育というと、普通は子どもにフォーカスしたものですよね。でも大人も知らないことは多いんです。大人が知らないのに、子どもに教えられるわけがない。だから、まず大人に宮城の食を学んでいただく機会をつくっていきたいし、僕自身も学びたいと思っています。
これまでも農業体験イベントを開催してきましたね。
月1回くらいのペースで、いろいろなイベントを実施しています。できた野菜を収穫して食べるだけでもいいのですが、それだけでは物足りないと思っています。僕が提供したい農業体験のイメージは、野菜の一生を体感してもらうことです。

植物って、種をまいて芽が出て、葉っぱが出て、花が咲いて、そして実ができる。収穫した後に花は枯れて、そこから種が採れて、翌年また芽が出る。連綿と続いていく野菜の一生を、一般の方にも体感してもらいたい。

たとえば種まきを体験すれば、「そろそろ芽が出たかな?」と気になり、野菜の成長をお客さまも一緒に楽しめます。それがお客さまにとって貴重な体験になり、また来店してくださる動機にもなります。そんな企画を実施できないかなと思っています。

「命をいただいている」ことを知ってほしい

これから挑戦したいことを教えてください。
知り合いにハンターがたくさんいて、イノシシなどを獲ると電話をくれます。すると僕はお店を閉めて、包丁を持って行くんです。そしてイノシシのお腹を割って、内蔵を出して血抜きして、皮を剥いで、頭を落として、精肉にしていくという作業を一緒にやります。

実は僕も以前までは、真空パックになっている肉を肉屋から買っていました。ハンターとお付き合いするようになって初めて、さっきまで生きていた野生動物を、自分の手でばらす体験をしました。

解体していると、イノシシがかわいそうだなという気持ちになります。でもパック詰めの牛肉を見てかわいそうとは思いません。

しかしよく考えれば、生き物を殺して食べるという点ではどちらも同じ。命をいただいて、人間は生きています。「いただきます」という言葉は、命をいただくという意味なんですね。

そういったことを知る機会も大切だと思い、3月末に、シカの解体処理施設を見学するツアーを実施しました。見学後は秋保に戻ってきて、シカ料理と秋保ワイナリーの赤ワインを楽しんでもらいました。

今後もさまざまな体験イベントを継続的にやっていきたいです。今月は野生動物、来月は農業、次はみそ作り……といろんな角度から、宮城の食を伝えて、感じてもらいたいと思います。今やるべきこと、やりたいと思うことを、冷める前にどんどん仕掛けていきます。
(写真/文:みやぎ就農ナビ編集チーム)
プロフィール
野菜屋カフェ ヴェルデ オーナーシェフ 奥村 隆さん
  • 奥村 隆さん
  • 野菜屋カフェ ヴェルデ オーナーシェフ
  • ホームページ:https://yasaiya-cafe-verde.amebaownd.com/
  • フェイスブック:https://www.facebook.com/yasaiya.okumura.2016.9.20/
  • イタリア料理店やフランス料理店で修行を積み、和食レストラン「土龍 mogura」の統括料理長を経て、2016年に仙台市荒町に「野菜屋カフェ ヴェルデ」をオープン。その後、2017年、秋保にある秋保大滝自然農園の隣りに移転して新たなスタートを切った。