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有機野菜とインドの食文化を多くの人に伝えたい

有機野菜とインドの食文化を
多くの人に伝えたい(第1回)

  • あーりあわらと農園
  • 園主 ブシャン・アケボノ さん
中学生の時にインドから来日し、有機野菜作りや加工・販売にも取り組んでいるブシャン・アケボノさん。彼女はなぜ日本で農業に取り組み、将来どんなことを目指しているのでしょうか。2018年1月31日、仙台合同庁舎で行われた「新規就農促進フォーラム」でのブシャンさんのスピーチと、その後に行ったインタビューをまとめました。

 

食に興味を持ち、農業高校、農業大学校へ進学

 

こんにちは。ブシャン・アケボノです。苗字がブシャン、名前がアケボノです。インドのニューデリー出身です。

父の仕事の関係で中学2年の時に来日し、仙台に来ました。高校受験を翌年に控え、進路について考えた時、父がインド料理店をやっていたのと、私も調理師になりたかったので、食べ物関係や調理師の資格が取れる学校に行きたいと思いました。

ちょうどその時、父のお店のお客さまに、宮城県農業高校を薦められました。野菜の作り方を知れば、もっとおいしいカレーをお客さまに提供できるのではないかと思い、宮城県農業高校を受験すること決めました。

そして一生懸命勉強し、周りの方の協力もあって無事入学することができました。

 

新規就農を目指すも、大きな壁にぶつかる

 

高校入学後、初めて栽培した野菜は枝豆でした。種から育てて、できた作物を食べるところまで経験したことで、すごく感動し、もっと農業の勉強をしたいと思いました。そして高校卒業後は、宮城県農業大学校に入学。大学校では、トラクターの免許や野菜ソムリエの資格を取りました。

大学校卒業後は、一から農業を始めて、3年後には農家レストランをオープンするという目標を立てました。そこで新規就農をするために役場や普及センターに相談に行ったのですが、非農家出身者が農業を始めることは非常に難しいことを知りました。

たとえば仙台の場合、50aの農地がないと新規就農者として認定されません。また、農地も自分で見つけてくる必要があります。仙台のどこに農地があるのかという情報もないので、とても困りました。人生で一番の壁にぶつかりました。しかし同時に、絶対に農地を探してやるという強い思いがありました。

 

認定就農者になる事にこだわり、農地を見つける

 

私が認定就農者になる事にこだわった理由は、お客さまに直接販売したかったからです。大学校を卒業後1年間、有機栽培をする農家さんで研修を受けていたことがあり、そこでは月1回のマルシェなどで販売していました。大学の時は畑仕事ばかりだったので、お客さまと直接話ができることがとても楽しかったのです。

そこで私も、農業を始めたら対面販売をしたいと考えたのです。販売する時に新規就農の認定書があれば、認定を受けていることをアピールでき、商品を安心して買ってもらえるし、私も自信を持って販売できます。そのために認定就農者にこだわったわけです。

農地を見つけたのは、震災後のことでした。父が新しい家を探していたところ、美里町にいい物件が見つかりました。私は学生時代に美里町の農家さんでホームステイ研修をしていたことがありました。その農家さんに相談すれば、自分の農地も見つけられるのではないかと思いました。

そこで家族みんなで美里町へ引っ越してきました。すると1週間後に、75aの畑が見つかったのです。その年の6月には新規就農の認定を受けて農業を開始することができました。

 

栽培、販売だけでなく、さまざまな活動を展開

 

現在、畑は1ha50aに広がりました。ミニトマトや加工用のトマト、紫玉ねぎなど、カレーに合う野菜を中心に約30種類を栽培しています。販売先は、父や兄のインド料理店のほかに、地元のレストランなどです。

週1回、直売所でも販売しています。たとえばバターナッツというかぼちゃを育てて、かぼちゃのタルトを作り、お客さまに試食をしてもらい、料理のレシピを教えたりしながら販売しています。

その他に、農業の楽しさを伝える講話をするなどの活動も行っています。また出張料理教室を開いて、自分の畑で収穫した野菜を使ってインド料理を教えています。

 

有機栽培のため、3年間は土づくり

 

新規就農した時に、初めから有機野菜を作りたいと考えました。最初はとても苦労しました。自分一人で計画を作り、農作業も販売も自分でやらないといけません。しかも無農薬で化学肥料を一切使わずに野菜を作ろうとしていたので、周りの農家さんに理解してもらうことから始める必要がありました。

ただ私は、「初めから成功する人はいない」と考えていたので、最初の3年は土づくりに専念し、大変なことがあっても耐えることができました。

始めたのは21歳の時でしたが、若い外国人が畑をしているということで、地元の新聞やテレビで取り上げてもらいました。その時にはじめて自分自身がどういう人なのかがわかり、地元の方にも理解してもらえるようになりました。そして、農家さんや周りの方が応援してくれるようになり、楽しく農業ができるようになりました。

 

 

 

強い思いがあれば夢を実現できる!

 

私にはたくさんの夢があります。以前は、野菜の栽培を始めて3年後に農家レストランをオープンするのが夢でした。しかし、兄が先に店をオープンしたので、同じことをしても面白くない。そこで、何か違うことをしようかと思い、加工品を作ることにしました。

よりたくさんの方に私の栽培した野菜を食べてもらうには、加工品が最適だと思ったからです。玉ねぎ、人参など、全部自分の育てた野菜を使ってレトルトの「ひよこ豆カレー」を作り、2017年3月に発売。ホームページを作って販売を開始しました。

これまで大変なことも多かったのですが、徐々に夢に近づけたのは、「農業をしたい」「私は料理が好き」といった、自分の夢や思いをいつも口にしていたからだと思います。それを聞いた周りの人が、応援してくれたり、情報提供してくれたりして、夢に近づくことができました。自分一人だったら絶対に無理でした。

今後は、インドの食文化を伝えていきたい。インドはカレーだけ、辛いものだけと思われがちですが、そんなことはなく、たくさんの料理があります。身体に良い香辛料もあります。そういうことを多くの人に伝えていきたいです。

また日本にきて、たくさんの方にお世話になったので何かお返しをしていきたい。直接できなくても、次の方につなげられたらと思います。たとえばこういった場を借りて自分の話をすることで、少しでも農業に興味を持ってくれる若い人が増えたらいいなぁと思っています。

インドから来た私が夢を実現することができました。日本の皆さんも強い気持ちがあれば絶対に夢を実現できます。それをたくさんの方に伝えていきたいと思います。

 

 

プロフィール
あーりあわらと農園 園主 ブシャン・アケボノさん
  • ブシャン・アケボノさん
  • あーりあわらと農園 園主
  • ホームページ:http://aryawarat-akebono-farm.com/
  • インドのニューデリーで生まれ、中学生の時に料理人である父の仕事の関係で来日。農業高校、農大に進学。研修先で有機栽培を学んだことをきっかけに独立自営就農。年間30種類の野菜を生産し、加工、販売にも取り組む。